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日本M&Aセンター不正会計

2023.03.05 その他

今週号の週刊ダイヤモンドに、日本M&Aセンターの不正会計の記事が出ていまして、私は不正会計があったらしいことは認識していたのですが、内容は調べていなかったので記事を読んでみました。この記事が事実を伝えているのであれば、不正会計の内容としては「売上前倒し」という比較的典型的なものでしたが、この記事を読んで、最近の仕事で起きたこととの絡みで色々と思うところがあったので、今日はその点について述べたいと思います。お話ししたいのは、①不正会計で一番困ること、②M&Aキャピタルパートナーズとの相違点、③事業承継M&Aについて思うこと、の三点です(何かサザエさんのエンディングみたいですが気にしないでください)。

①不正会計で一番困ること
真っ当に事業を運営しようと考えた場合、営業部門の数字の未達より数字のごまかしが一番困ります。その理由は「ごまかさなければ表出されたかもしれない問題点が隠されてしまう」ということです。経営側としては、出てきた数字を正として問題点を把握し、改善施策を検討・実行するわけで、ごまかされてしまうとその前提が崩れ、仮説の立てようがなくなってしまいます。そのため経営側としては、未達の場合叱責されるという過度なプレッシャーの状況に置かないということはもちろんですが、中には「張られた目標は何としてでも達成しなければならない」というコミットメントが強すぎるあまり、プレッシャーがなくても数字をごまかしてしまう人もいるかと思いますので、各メンバーの性格や仕事のクセなども念頭に置きながら、正しい数字が報告されるようにマネジメントを行う必要があると思います。

②M&Aキャピタルパートナーズとの相違点
ダイヤモンドの記事の中で、「売り手企業の提携先からの紹介割合は、日本M&Aセンターが60%であるのに対し、M&Aキャピタルパートナーズは10%」という記載を見て非常に驚きました。もしある社長が「自分の会社を売ろう」と考えた場合、普通に考えると金融機関や税理士等に相談してM&Aセンターへ、という流れが一般的な気がしますが、恐らくM&Aキャピタルパートナーズは、社長が売ろうと思う前に潜在的なニーズを汲み取って直接受託に繋げているのではないかと推察しました。もしこの推察が正しければ、M&Aキャピタルパートナーズの営業は「顧客の潜在的なニーズを汲み取る」という非常に難易度の高いミッションを負っているわけなので、マネジメント側としてどのように営業を管理しているのか(属人的なのか、組織的なのか)という点が非常に気になりました。

③事業承継M&Aについて思うこと
そしてこの三点目が一番言いたいことなのですが、「事業承継というテーマについて、M&A以外の選択肢が少なすぎる」という点です。ダイヤモンドの記事にも「中小企業庁がM&Aを事業承継の有効な手段だと説いていたM&A仲介会社に着目し、補助金や税制などを整備してM&Aを後押しした」という記載がありました。
・売り手:株式売却により多額のお金が得られる
・買い手:企業規模を拡大する時間をお金で買える
・M&A仲介会社:多額の仲介手数料が得られる
という三方よしの最強のビジネスモデルなのですが、以前のブログにも書いたように、M&A後のPMIについては課題が多くありますし、何より「果たしてM&Aは売り手の長期的な将来像を考えた時に最適な手段なのか?」という疑問は拭えません。もちろんM&Aが有効な手段である場合も非常に多いとは思うのですが、今の風潮のように「後継者不在=猫も杓子もM&A」という流れに乗らない方がいい会社も相応にあるのではないか、というのが個人的な意見です。この風潮に一石(砂と言ってもいいぐらいの小石ですが)を投じたいという思いで、「後継者紹介サービス」をやっておりますので、事業承継の新しい選択肢となるぐらいまで育てられるように頑張りたいと思います。