ブログ

コミュニケーション能力

2022.07.21 その他

先日YouTubeでビジネス系の動画を見ていたら、ある大学教授の方がパネルディスカッションに参加していたのですが、その方が他のパネラーの方が始めたトークを「補足ですが…」という枕詞を付けて泥棒しまくっているのを見て、「この人は喋るのは上手だけど、コミュニケーション能力は高くないなあ…」と思ったので、今日は「コミュニケーション能力」についてブログを書こうと思います。

「コミュニケーション」というのは当然のことながら双方向のものなので、「話す能力」と「聴く能力」に分解されます。「コミュニケーション能力」というと、一般的にはどちらかと言えば「話す能力」の方に重点が置かれているように思うのですが、個人的には「話す能力」が必要なのは政治家とそれこそ学校の先生ぐらいのもので、ビジネスパーソンにとって重要なのは「話す能力」よりもはるかに「聴く能力」ではないかと思います。「聴く能力」というのはなかなか定義が難しいのですが、「ただ単に相手が発した言葉を額面通りに受け取るだけではなく、時にはその言葉の裏に隠されている真意を読み解きながら、相手が求めていることを把握する能力」でしょうか。「聴く能力」を磨くために一番重要なことは「相手の立場に立って考える」というところで、相手の話を聞きながら、「自分ができることで相手が一番やってほしいと思うことは何か」ということを考え、提案していくことで「聴く能力」は磨かれていくのではないかと思います。

たまに雑誌の特集などで「口下手な営業マンがトップセールスに…」みたいな記事を目にしますが、これは「話す能力は高くないけど聴く能力が高い人」の事例なのではないかと思っていて、「聴く能力」が高く顧客の真のニーズを正確に把握することができれば、「話す能力」は色々な形で補えるという好例だと思います。また以前ブログに書いた「マーケットイン・プロダクトアウト」の議論で言えば、「話す能力」は「プロダクトアウト」、「聴く能力」は「マーケットイン」に近いスキルですので、その観点からも「聴く能力」の方が価値が高いスキルである、と個人的には思います。ちなみに私はたまにセミナーの講師をやることがありますが、準備されたプレゼンテーション資料を話すことより、セミナー終了後参加者の方から質問を受ける時の方が緊張します。これも私が「話す」ことより「聴く」ことの方が難しいと思っているため、無意識的に「聴く能力」が問われるシチュエーションになると緊張感が高まるのだと思います。

それにしても冒頭のYouTubeの大学教授の方のトーク泥棒っぷりは、全く申し訳なさそうにしていないところも含めてもはや清々しさすら感じるものでしたが、その動画を見て、「自分も会議や会食などでたまにトーク泥棒やっているなあ…」と反省しました。「相手の立場に立って考える」ということの重要性を再認識するいい機会になりました。