トヨタ自動車の社長が14年ぶりに交代するというニュースを耳にして、私が個人的に思ったのは「見事な引き際だ」ということです。以前ブログでも書きましたが、私は「後継者がいるのであればできるだけ早く代わった方がいい」と思っていますので、社長の椅子に執着せず、「自分はクルマ屋で、古い人間だ」と言って社長交代を決断した豊田社長の意思決定は見事だったと思います。
トヨタ自動車ということで言えば個人的にいくつか思い出深い出来事があって、まず大学の入学式に当時トヨタ自動車の会長であった奥田硯さんが来てお話をしてくださったことです。恥ずかしながらお話の内容は全く覚えていないのですが、柔道部出身ということで体格がとてもよく、オーラのある人だなーと未熟者ながらに思ったことをよく覚えています。そして二つ目は、同じく大学時代、私はフィールドホッケーの部活の関係で、日本学生ホッケー連盟の会長と一緒に仕事をする機会が多かったのですが、その会長がフィールドホッケーの日本代表で豊田章男社長と一緒にプレーしたということを自慢気に語っていたことです。フィールドホッケー界では慶應はもちろん関東の一部リーグに所属する名門ですが、日本代表まで昇りつめた人は私の記憶する限りいなかったので、「天に何物も与えられる人というのはいるもんだなー」と感心したことを覚えています。
そして社会人になってから、私が今の事業スタイルを考えるようになった、「会社は人>仕組みだ」と痛感した出来事があって、それはとある会社にコンサルティングを行っている時に、その会社の工場長が「トヨタ生産方式」に魅せられ、「トヨタ生産方式」を参考にしながら工場のマネジメントを行っていたのですが、改善の効果はあまり見られず、私たちが入っていって、製品別の原価や不良率等を簡単なエクセル計算で提示したところ劇的に改善が進む、という経験をしたことです。つまり「トヨタ生産方式」という仕組み自体が優れていることは言うまでもないのですが、トヨタが優位性を保っているのは、その仕組みの存在そのものが理由なのではなく、その仕組みを上手に使える人が揃っているからなのだ、ということをこの経験を通じて実感しました。
このことから私は、「コンサルティングを行い仕組みを提供するのであれば、その仕組みをただ構築するのではなく、私がいなくなった時に会社の人がどう運用するかというところまで想定し、ノウハウを引き継ぐ人を明確にしよう」「もしノウハウを引き継げる人がいないのであれば自分で探してきて紹介しよう」ということを考え、今の事業スタイルを始めるに至りました。
このように個人的に色々な思い出があるトヨタ自動車ですが、今文句なしに日本No.1の会社だと思いますので、ぜひ佐藤新社長にはさらなる事業発展を目指して頑張っていただきたいなと思います。また豊田社長には、少しでいいのでフィールドホッケーの普及に力をお貸しいただけたら嬉しいなーと思います。日本ホッケー協会から何らかの仕事を打診してみればいいのに、と個人的には思っていますが…。