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学歴フィルター

2023.02.11 2023.02.15 人材紹介

「学歴フィルターはありかなしか?」という話は定期的にニュースや記事が出てくる印象ですが、私の個人的な意見としては、「30歳以下の採用であればあり、30歳以上の採用であればなし」です。30歳以下の採用の場合は仕事の実績を図れる要素が乏しいため、結果的に学歴を選考要素の一つに加えざるをえない、というぐらいの感覚です。以前のブログに、「学歴とスキルには高い相関関係があるが、学歴とセンスにはスキルほど高い相関関係がない」と書きましたが、実務的なスキルが重視されるプレイヤー層の採用であればともかく、センスが重視されるべき経営幹部・マネジメント層の採用においては、学歴よりも今までの仕事における実績や、どのようにしてその実績を上げたかというところが具体的に応募書類から伺えるかどうかの方がはるかに重要です。むしろ経営幹部・マネジメント層の求人の場合、前提としてマネジメントポジションでの経験が必須となることが多いですが、学歴が高い人は、言葉を選ばずに言うと学歴で下駄を履いてマネジメントポジションに就いた人が一定数いる一方で、学歴が高くない人は、学歴で下駄を履くことなく実力でマネジメントポジションに就いた方が多いため、例えば高卒で経営幹部求人の俎上に乗ってくる人などは、総じて実力者が多いというのが個人的な印象です。

「学歴フィルター」というテーマで私がいつも思い出すのは、私が新卒で入った会社の部署の先輩の話です。私が新卒で入った会社は、業歴50年以上、年商数兆円という典型的な大企業でしたが、私が配属された営業の部署に高卒で課長になった当時40歳前後の方がいました。私の直属の上司ではなかったので直接仕事を一緒にしたことはなかったのですが、当時右も左もわからない新卒社員ながらに、「この人はすごく仕事ができる気がするなー」という印象を持っていました。その理由は三つあって、①飲み会で話がめちゃくちゃ面白い、②新規開拓に長けていて、新しい商談機会を次々獲得してくる、③部署全体のミーティングの際の営業進捗の報告が非常に具体的で、受注・失注の見込みが大体当たる、です。正直に言って高学歴の他の課長の方と比べても抜群に優秀だと感じていたのですが、私が退職してしばらくしてから、子会社に出向になったという話を人づてに聞きました。その方が必ずしも学歴だけが原因で本体に残れなかったとは限りませんが、その会社で高卒で部長になったという方は私の周りの部署にはいなかったので、「あんなに優秀な人でも学歴の壁は超えられないんだなあ…」と何となく寂しい気持ちになったのを覚えています。

「学歴フィルター」というと採用時の選考に関するものがクローズアップされますが、入社後も学歴はあらゆる場面で人材の評価基準の一つとして付いて回るような気がします。「学歴フィルターはけしからん!」という意見も一定数あるのは理解していますが、仮に本来学歴フィルターに掛かるはずの人がそのフィルターを通過して採用されたとしても、採用された母集団の中では下位からのスタートになりますし、出世のタイミングでいちいち学歴のことがネックになる可能性が高いですので、そうであれば入社前の段階でフィルターに掛かった方が、長期的に見ると入社希望者の方にとってもハッピーなのではないかと思います。

私が今人材紹介の仕事をやっているモチベーションの一つとして、この方のように「実力以外の理由で日の目を見ない人を見つけて、実力を発揮できる環境を提供したい」ということがあります。実力がある方をきちんと実力を発揮できる環境に置くことが、ひいては日本全体の生産性の向上に繋がると思うからです。最近はインターネット等の普及の影響もあり、転職に限らず、実力がある人が不遇な環境に燻ることなく実力をアピールすることができる機会が増えてきているように感じます。ぜひ一人でも多くの方にそのような機会を提供したい、と思いながら日々仕事をしています。