リンガーハットが創業店である長崎市鍛冶屋町の濵かつ本店を閉店するとのことで、個人的に非常にショックを受けています。リンガーハットは今でも月に1回は食べる私にとってのソウルフードですし、私にとってとんかつと言えば和幸でもさぼてんでもなく濵かつです。コロナで業績が悪化していることは認識していましたが、まさか濵かつ本店を閉店するほどとは…と衝撃を受けまして、少し業績を調べてみました。
【株式会社リンガーハット 業績推移(単位:百万円)】
決算期 | 19/2 | 20/2 | 21/2 | 22/2 | 23/2 |
売上高 | 45,645 | 45,899 | 33,007 | 32,868 | 36,618 |
売上原価 | 15,064 | 15,356 | 12,722 | 12,230 | 13,249 |
売上総利益 | 30,581 | 30,543 | 20,285 | 20,637 | 23,369 |
営業利益 | 2,934 | 1,554 | ▲5,403 | ▲1,464 | ▲292 |
経常利益 | 2,311 | 1,460 | ▲5,561 | 1,967 | 264 |
当期純利益 | 838 | ▲210 | ▲8,746 | 943 | ▲403 |
店舗数 | 798 | 815 | 704 | 688 | 664 |
店舗/売上高 | 57 | 56 | 47 | 48 | 55 |
従業員数 | 5,602 | 5,780 | 4,671 | 4,317 | 4,528 |
従業員数/売上高 | 8.15 | 7.94 | 7.07 | 7.61 | 8.09 |
コロナ以降不採算店舗の撤退を繰り返して、ようやく店舗あたり・従業員あたり売上高はコロナ前の水準に戻ってきたというところかと思います。恐らく今年・来年でもう一段階の店舗撤退が行われて営業黒字転換というイメージだと思うので、その一環として濵かつ本店もターゲットになったのではないかと思います。
次に上場している競合他社と同じ損益項目で比較してみます。
【競合他社比較(単位:百万円)】
会社名 | リンガーハット | ハイデイ日高 | グルメ杵屋 | 力の源HD | 幸楽苑 |
決算期 | 23/2 | 23/2 | 23/3 | 23/3 | 23/3 |
売上高 | 36,618 | 38,168 | 29,894 | 26,116 | 25,462 |
売上原価 | 13,249 | 10,715 | 19,073 | 7,748 | 7,053 |
売上総利益 | 23,369 | 27,453 | 10,821 | 18,368 | 18,409 |
売上総利益率 | 63.8% | 71.9% | 36.2% | 70.3% | 72.3% |
営業利益 | ▲292 | 616 | ▲387 | 2,281 | ▲1,687 |
経常利益 | 264 | 2,471 | ▲478 | 2,322 | ▲1,529 |
当期純利益 | ▲403 | 1,519 | ▲1,172 | 1,628 | ▲2,859 |
店舗数 | 664 | 440 | 403 | 273 | 431 |
店舗/売上高 | 55 | 87 | 74 | 96 | 59 |
従業員数 | 4,528 | 3,944 | 3,247 | 2,018 | 3,136 |
従業員数/売上高 | 8.09 | 9.68 | 9.21 | 12.94 | 8.12 |
競合他社と比較すると、売上総利益率・店舗あたり・従業員あたり売上高のいずれも低い水準となっており、改善の余地は大いにありそうです。従って「値上げ」「仕入コストの見直し」「テイクアウト強化」「店内オペレーション見直し」「不採算店舗撤退」などが改善施策としては考えられるかと思います。
しかし、正直に申し上げて私はリンガーハットの「コストや効率よりも顧客にいいものを提供したい」というある種牧歌的な雰囲気を感じるところが好きなポイントの一つでもあります。コロナ前は麺増量無料でしたし、野菜は国産に拘っていますし、赤字を理由に内村航平選手とのスポンサー契約を終了するところも、非常に正直な感じがして私は好きです(内村選手からしたらたまったものではないでしょうが)。
最近は無料の麺増量がなくなったし、値上げもあったし…と正直行く頻度が若干減っていましたが、東京でこれ以上店舗が減って悲しい思いをするのは嫌なので、微力ながら行く回数を増やそうかと思っています。数少ない長崎が出自の上場企業ですので、これからますます発展するよう陰ながら応援しています。