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損益管理単位は顧客別がいいと思う理由

損益管理体制構築のコンサルティングを行う時は、まずクライアントに「現状どのような単位で管理をしていますか?」と聞くことから始めることが多いです。
クライアントが長年慣れ親しんで使っている単位が理由も含めて腑に落ちるのであれば、それをそのまま使った方がスムーズですし、「急に変わると使いづらい!」というような無用な軋轢を産むことがないからです。
ただもし今使っている単位があまり合理的でないと思われる場合、私がどの単位を採用するか提案せよと言われたらまず顧客別を提案します。
損益管理単位の代表的な例で言えば、商品(製品)別・拠点別・部門別・地域別・事業別などがありますが、私が顧客別を支持する理由は、「マーケットを意識できる可能性が高まるから」です。

ビジネスの基本は、戦うマーケットを決めて、そのマーケットに投入する製品・サービスを決定し、競合との競争に勝てるように動いていくことですので、「マーケットを意識する」ということは非常に重要なはずです。
ところが日々顧客と接している営業部門は別として、マーケット(顧客)と距離がある管理部門や(メーカーであれば)製造部門などは、業務の中でマーケットを意識する機会が少なく、結果としてマーケットの都合ではなく自社の都合で仕事を進めてしまいがちな気がします。
顧客別に損益を管理すれば上記の問題がすべて解決するというわけではもちろんないのですが、他の管理単位と比較するとよりマーケットの事情を反映する形で損益が管理されるため、鋭い人はその数字からマーケットの事情を想像して仕事を進めるようになるのではないかと思います。

ちなみに「マーケット・インとプロダクト・アウトはどちらがいいか」という話がありますが、私は完全にマーケット・イン派で、上記の理由から議論の余地はさほどないのではないかと思っています。
同じ理由で自分が好きなことではなく得意なことを仕事にすべきだと思っていますし、自分たちのサッカーではなく相手に合わせたサッカーをすべきだと思っています。
この辺りはまた別の機会にお話しできればと考えております。