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ドラフトキング

2023.06.17 その他

「ドラフトキング」という漫画がムロツヨシさん主演でテレビドラマ化されたのを受けて、スポーツナビで一部無料で読めるのを知り、すごい勢いで全部読んでしまい、続きが読みたすぎてヤンジャンのアプリまでダウンロードしてしまいました。ドラフトキングは「その年のドラフトで通算成績が一番優秀な選手」という意味で、イチロー選手・落合選手・山本由伸選手など、ドラフト1位でなくてもドラフトキングとなる選手がいて、その才能を見抜き、自分のチームに引っ張ってくることを仕事とするプロ野球のスカウトを描いた漫画です。私は野球が好きですし、プロ野球のスカウトも自分の仕事に近いので興味があるため、いつか漫画喫茶に行って全巻まとめて読もう!と思っていたのですが、ドラマ化の恩恵を受けアプリで途中までは読むことができました。読んでみて、本当に面白すぎてクロマツテツロウ先生と元ヤクルトの宮本慎也さんの対談YouTubeまで見てしまいましたが、個人的に考えさせられる点が二点ありましたので、今日はその点について述べたいと思います。

一点目は「スカウト」という題材を選んだクロマツテツロウ先生の慧眼に感服した、という点です。「野球」という漫画ではもはやしゃぶり尽くされているであろう題材を、「スカウト」という切り口から描くことによって斬新さを持たせています。これは大きな市場の周辺にあるニッチ市場を目指す中小企業にも応用可能な考え方であると思います。もちろんクロマツテツロウ先生が描く各キャラクターやストーリーも漫画の魅力の一つではあるのですが、野球を好きな人であれば必ず存在は知っていて、ただし何をやっているかはあまり知らないスカウトにスポットライトを当てたという意味では、「よくこの設定思いついたなー」と思うコントを見た時のような爽快感がありました。私もクロマツ先生を見習って、「よくこのビジネス思いついたなー」と他の人に思ってもらえるような事業をやりたいな、と改めて思いました。

二点目は「スカウトは選手の人間性を重視しており、この点は我々の仕事と通じる」という点です。ここでいう人間性というのは「いい人である」ということでは決してなく、「自分を理解し、アドバイスを取捨選択できる」ということです。最近のプロ野球のコーチは「教えない」ということがトレンドのようですが、私もこの点は全面的に賛成です。日本社会ではプロ野球に限らず、プレイヤーとしてある程度の結果を出した人がマネージャーになるため、マネージャーが自分の成功体験を押しつけるが部下にはそのやり方が合わず、お互いに悲しい結果になる、ということがそこら中で起こっているような気がします。マネージャーが部下が求めてもいないアドバイスをして仕事をした気になって、お互いの時間を無駄にするよりも、必要以上に教えることはせず、部下が必要だと感じてアドバイスを求めてきた時だけアドバイスをしてあげる方がよっぽど効率的だと思います。また部下の方も教えたがりの上司のアドバイスを全部間に受けて取り入れていたら、体と時間がいくらあっても足りませんので、しっかりと自分を理解し、「このアドバイスが自分に合うか、自分に役立つか」という観点でアドバイスを取捨選択できるということが必要不可欠であり、その点はプロ野球選手も我々ビジネスパーソンも共通だな、と思いました。

ちなみに私も候補者の方の人間性は結構気にしながら面談することが多く、今までやってきた業務内容や実績、保有資格などのハードスキルよりも、価値観や考え方などのソフトスキルが紹介したい会社と合うかどうか、という点に重きを置いています。スカウトの方もお目当ての選手のスカウトが来ていない普段の様子を隠れて見ることで、その選手の隠れた人間性や練習に対する姿勢などを把握して指名するかどうか判断することがあるとのことですので、やはり「しっかりとした人間性(ソフトスキル)が身についていれば、業務に必要なハードスキルは後でついてくる」ということだと思います。最近は元プロ野球選手がYouTubeチャンネルなどで色々な話をする時代になりましたので、「この選手は感覚派だと思っていたけど意外と論理的だな(逆の場合もあります)」「この人はあまり監督としては成功しない気がするな」など妄想して予想するのも結構楽しいなと思っています。この手の少し斜めから見た人間観察が私は好きなので、人材紹介の仕事が向いているのかもしれないなと思う今日この頃です。