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富士通 コンサル人材1万人に増強

2023.05.27 その他

富士通が5/24に3か年の中期経営計画を発表し、コンサル人材を現状の2千人から2025年度に1万人規模に拡充する、という方針を盛り込みました。私は何を隠そう新卒で富士通に入社し、3年弱という短い間ですが在籍していましたので、富士通のニュースはどのような内容であれつい注目してしまいますが、今回のこのニュースを見てまず思ったことは、「私が在籍していた時と言っていることが同じだなあ…」ということです。

私が富士通に在籍していたのは約15年ほど前なのですが、当時の新卒の営業研修では「お客様のシステム面での課題のみならず、経営面での課題を解決できる営業人材を育成する」という趣旨で、財務分析に基づいた経営課題の仮説抽出に力を入れていました。現在はDXに力を入れているということでツールは異なりますが、「経営者と経営課題について議論できる人材を増やす」という目的は同じですので、恐らくこの15年なかなかそのような人材を増やすことができていないのではないかと推察します。
加えてあと3年でコンサル人材を5倍に増やすということで、相当ドラスティックな改革が必要だと思われますが、その筆頭施策が「リスキリング」ということで、この点も「うーん…」という感じです。2022年度の決算説明会で、2022年度に8千人の営業を「ビジネスプロデューサー」にリスキリングしたという成果が報告されていましたが、この手のリスキリングというのは、前回のブログで記載した「全員一律の義務化された研修」の類だと思いますので、果たしてどこまで実質的な成果があったのかは疑問を感じざるをえません。形式的に名称を変えただけなのでは、と邪推してしまいます。8千人の営業のリスキリングができたのであれば、8千人のコンサル人材へのリスキリングも恐らくできるのだとは思いますが、それが実質的な成果を生むのか個人的には疑問があるので、引き続き業績を注視していこうと思います。

ちなみに、個人的にはもし本当の意味でコンサル人材を増やすということであれば中途・新卒採用の強化は必須だと思いますが、採用強化のために非常に重要なことは、マイナカード誤交付のようなシステム障害を繰り返さないこと、発生した場合に適切に対応すること、だと思います。私が在籍していた時は某証券会社の誤発注問題が発生しましたが、この手の障害は一般消費者の会社に対する心象を悪化させるとともに、働いている従業員のモチベーション低下にも繋がり、中長期的に見ると優秀な人材の採用・定着に多大なる悪影響を及ぼすと思われます。また昨年のKDDIのように、社長の謝罪会見が一転して会社のイメージアップに繋がる事例もありますので、会社のブランド価値を毀損しないためにも、今回のマイナカード誤交付の問題に適切に対応することが何よりも重要であると思います。

ちなみにちなみに、2022年度の富士通の決算は過去最高益を記録したとのことですが、まずIFRSベースと日本基準ベースの営業利益の考え方が異なるのに、その点を無視して「過去最高益」というのは違和感があります。また、2021年度と比較して、その他の収益・その他の費用に関連する利益改善額が約900億円あり、全体の利益改善額の1,160億円の大部分を占めている点も気になります。さらにざっと過去の数字も見たところ、コロナ前と比較すると基本的には減収増益の傾向ですので、「コロナ禍で動きが制限されたことにより、結果的にコストが削減され増益になった」というのが実態ではないのかなと推察します。この点についても私の推察が当たっているのか、引き続き業績を注視していこうと思います。

色々と厳しいことを書きましたが、私の同期もまだ大勢働いていますし、富士通に頑張ってもらいたいという気持ちはずっと持っています。そして何より、「経営課題の仮説を立てて、その課題を解決するためのソリューションを充て込む」という私の今の事業の原型は、富士通での「財務分析→経営課題仮説立案」という業務の経験がベースとなっていますので、富士通には非常に恩義を感じています。ぜひ私のひねくれた邪推を覆してほしいなと心から思っていますので、そのことを願って、繰り返しになりますが引き続き業績を注視していこうと思います。