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人的資本経営

2023.05.19 2023.05.20 その他

最近「人的資本経営」という言葉を耳にするようになってきました。個人的な意見としては、「また新しいフワッとワードが出てきたな…」という印象です。私が記憶している最近のフワッとワードは、「ROE8%」「SDGs」「DX」「働き方改革」あたりでして、フワッとワードは「本質的に非常に重要なことは間違いないが、あまりにフワッとしすぎていて、いかようにでも定義し捉えることができるため、結局本質ではないところで盛り上がってしまう傾向にあるワード」と個人的には定義しております。「なんでいつもこんな感じに本質からズレて盛り上がってしまうのだろう…」と思ってしまうのですが、その辺りはまた別の機会で述べることにして、今回は「人的資本経営」について少し思うところを述べていこうと思います。

「人的資本経営」は私の理解でいうと、「人材を資本として捉え、しっかりと投資をしていくべきだ」ということですが、こういうと間違いなく「研修に力を入れていくべきだ!」という論調になり、教育研修費が増加し、「弊社は研修にお金を掛けています!」というアピール合戦が行われ、「研修にお金を掛けてくれる会社に行きたい」という労働者が増える、という流れになることが予想されます。
ただし人材を投資案件と考えるならば、しっかりと「この人材は投資に見合うだけのリターンを会社にもたらしてくれるのか」ということを判断する基準を設けて投資可否を判断すべきだと思いますし、極端な話適切な基準を設定した上で、投資したがそれに見合うリターンが得られない可能性が高いと判断した場合は個人の財布から返金してもらう、ぐらいの厳しい目で投資を実行していかなければ、本当に成果の上がる人材投資は行えないと思います。
率直に言って、ネットで調べれば書いてあるようなことを話す研修も世の中にはたくさんあるわけで、それを「社員のレベルの底上げ」という名目で全員に一律義務化して受けさせる、というようなことをやって「教育研修に力を入れています!」と言ったところで、それが果たして人的資本経営が目指すところの「中長期的な企業価値向上」に繋がるのか、といえば甚だ疑問です。個人的には新入社員研修のような社会人経験が短い方に対する研修であればともかく、ある程度社会人経験を経た方に対して、一律で研修を義務化するのは非常に投資対効果が悪いと思っていて、「ある一定年齢以上の方の研修は、自分で受けたいと持ち込んできたもののみ認める」という形にしてもいいぐらいだと思います。学ぶ気がない人に研修を受けさせても効果は得られないですし、自分で学ぶ気がある人はネットや本で調べられることは調べた上で、研修でしか学べないことを提案してくる可能性が高いため、必然的に投資対効果が高い案件である可能性が高いと思われます。

要するに、もし「人的資本経営」を本質的な意味で機能させるとしたら、『人材を資本として捉え、しっかりと「リターンが得られる人材に」投資をしていくべきだ』ということになります。通常の投資と一緒で、「どの案件に投資をするか」という見極めが最も重要になるわけです。そうすると、「投資を得られない案件は淘汰されるべき」となりますし、「投資を得られる案件と得られない案件の格差がますます広がっていく」ことになるのですが、「人的資本経営の専門家」の方々はそのように考えているのでしょうか…。