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平均年収443万円の内訳

2022.11.25 2022.11.26 人材紹介

先日「令和3年分民間給与実態統計調査」の結果が公表され、「日本人の平均年収は443万円である」という記事をいくつか目にしました。それを見て私は、「地域別だとどのような状況なのだろうか?」ということが気になりましたので、「令和3年分民間給与実態統計調査」をもとにもう少し詳しく調べてみました。

人口の多い上位5都市である東京・大阪・名古屋・札幌・福岡(単体で集計されていない横浜を除く)の平均年収・年収500万円以上の割合は下記です。
・東京:平均年収515万円・年収500万円以上の割合41.7%
・大阪:平均年収439万円・年収500万円以上の割合31.7%
・名古屋:平均年収442万円・年収500万円以上の割合33.1%
・札幌:平均年収382万円・年収500万円以上の割合22.0%
・福岡:平均年収373万円・年収500万円以上の割合21.4%
東京がやはり圧倒的に平均年収が高く全体の平均を引き上げており、大阪・名古屋がほぼ平均前後、札幌・福岡は平均より約15%低いという状況です。年収500万円以上の割合も、東京約40%、大阪・名古屋約30%、札幌・福岡約20%ということでほぼ平均年収の高さに準じる結果となっています。
従って例えば東京で年収800万円と同水準の年収が他の地域でどの程度かと考えると、大阪・名古屋では約700万円、札幌・福岡では約600万円ぐらいのイメージであると言えそうです。
ちなみに一般的に高所得者と言われる年収1,000万円以上の割合ですが、東京7.9%・大阪4.7%・名古屋4.5%・札幌2.4%・福岡2.3%で全地域平均は4.9%となっています。

次に各地域の業種別の従業者割合TOP5は下記です。
・東京:1位サービス業18.3%、2位卸売業・小売業15.2%、3位製造業14.8%、4位医療・福祉9.6%、5位情報通信業8.0%
・大阪:1位製造業23.3%、2位医療・福祉16.0%、3位卸売業・小売業15.1%、4位サービス業14.9%、5位建設業7.2%
・名古屋:1位製造業30.2%、2位卸売業・小売業15.8%、3位サービス業12.9%、4位医療・福祉12.7%、5位建設業7.2%
・札幌:1位医療・福祉21.9%、2位卸売業・小売業17.4%、3位サービス業12.7%、4位建設業11.6%、5位製造業9.2%
・福岡:1位医療・福祉20.6%、2位卸売業・小売業20.2%、3位サービス業12.5%、4位製造業11.9%、5位建設業10.5%
・全国:1位製造業19.3%、2位卸売業・小売業16.0%、3位サービス業15.0%、4位医療・福祉14.6%、5位建設業8.2%
東京は、他の地域ではTOP5圏外の情報通信業の割合が多く、情報通信業の東京における平均年収は655万円と高い水準にある点、及びTOP5圏外ながら専門・技術サービス業等5.1%(東京における平均年収618万円)、金融・保険業4.2%(東京における平均年収773万円)という高年収業種に従事している割合が多い点、が特徴として挙げられます。
大阪・名古屋は、製造業が従業者割合1位となっており、平均年収も大阪523万円・名古屋540万円と高く、平均を押し上げているという同じような傾向が見られます(特に名古屋は製造業偏重の傾向が強いと思われます)。
札幌・福岡は、建設業の割合がともに10%を超えており、平均年収も製造業を大きく上回っているという点が共通の特徴として挙げられます(建設業:札幌468万円・福岡450万円、製造業:札幌356万円・福岡411万円)。
総じて言うと、IT・コンサル・金融等の業種が平均を引き上げている東京、製造業の割合が多く平均年収も高い大阪・名古屋、製造業をはじめとした高年収業種の従事者が少ない札幌・福岡、という傾向になるかと思います。

私は北海道から九州まで比較的幅広い地域の企業を対象に人材紹介を行っており、各地域の特徴として何となく思っていたことが、統計データによって定量的に説明されたような印象でした。このような統計データも参考にしながら、各地域の企業・転職者へのサポートの質を上げていきたいと考えています。