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稲盛和夫さん

2022.09.01 その他

京セラの創業者である稲盛和夫さんが亡くなりました。私は稲盛和夫さんの著書が好きで会計士受験生時代からよく読んでいまして、経営問答集で経営者の方からの質問に対して、首尾一貫した厳しくも暖かい回答をされているのを興味深く読みましたし、「売上最大・経費最小」「値決めは経営」「キャッシュベース経営」「一対一の対応」などの原則は、いつの時代も変わらない普遍的な本質であると読むたびに感心していました。さすがに減価償却を法定耐用年数に従わず自主的な耐用年数にするというところは「めんどくさいな…」と思っていましたが、昨今のIFRSの流れでそのような考え方が出てくるのを目の当たりにすると、稲盛さんの先見の明に改めて驚かざるをえません。

稲盛さんの会計原則の中で私が特に好きなのは「筋肉質の経営」です。「筋肉質の経営」は具体的には、「無駄な資産を持たない」「不良資産はできるだけ早めに損出しする」「固定費の増加を警戒する」「当座買いをする」などの要素があり、いずれもケチな私にはめちゃくちゃ腑に落ちる内容で、「筋肉質の経営」という言葉を知ってから、会社の決算書を見る時にはまず「筋肉質なBSかな?」という観点で見る癖がつきました。そして筋肉質なBSの会社を見つけるとなぜかちょっと嬉しくなってしまって、初めて訪問した会社の社長さんに「いいBSですね!」「私は御社のBSが好きですねー」という謎のラブコールを送り、社長さんに失笑されるということもたまにあります。もちろん我が社のBSもできるだけ筋肉質なものにしたいなと思い、できるだけ小さく、着実に純資産が積み上がるものにしようと思いながら日々業務を行っています。

会計というツールは色々な会計基準や税法などが複雑に絡み合い、その傾向はIFRSが入ってきてさらに顕著になっていますが、やはり「経済的実態に即しているか?」という問いに応えられる会計処理こそが、本質的で正しいものなのだということを稲盛さんの著書は教えてくれているような気がします。これからも時々は稲盛さんの著書に立ち返り、自分なりの経営観・会計観を構築していきたいと思います。謹んでご冥福をお祈りいたします。