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ビッグモーターとMBA

2023.08.05 その他

ビッグモーターの件が世間を騒がせていまして、特に副社長が話題になっています。一説によると「会計士の資格を持っている」というネット記事があったため、気になって経歴を少し調べてみたところ、どうやら会計士の資格は持っていないようなのですが、MBAを取得しているようです。MBAについては以前から少し思うところがあったので、今日はMBAについて述べてみたいと思います。

「MBAを取得することは経営者にとって役に立つか?」ということをたまに考えるのですが、私の仮説としては、「役に立たないことはないが、時間・費用などの投資対効果は悪いのではないか」というところです。そう考える一番の理由は、「座学では経営センスは身につかないから」です。「経営はサイエンスとアートが重要である」と言われることもありますが、私は圧倒的にアートの方が重要だと思います。社長に最も必要な決断力や洞察力、発想力などは座学で身につかないものですし、サイエンス系のスキルは軒並み座学で身につく上に、いざとなったら他の社員や社外の業者に外注できるものであると思います。MBAでやっていることはほとんどがサイエンス系のスキルに関することなので、それを1~2年、数百万~数千万掛けて深掘りしてやることは、時間がある人ならばいいのかもしれませんが、効率はあまりよくないのではないかなと思います。
MBAではよく過去の経営の成功事例・失敗事例の分析を行うケーススタディの授業をやっているようですが、そもそも「なぜ勝ったか、負けたか」を後講釈で言うのは簡単で、経営というのは未来を予測するべきものであるのに対して、過去をいくら深掘りして分析してもあまり将来経営する時に役に立つことは少ないのではないかと思ってしまいます。またその授業を行うのが経営をやったことのない学者の先生だったりすると、「あなたに何がわかるんですか?」と言ってしまいたくなるのは私だけでしょうか。
少し話が脱線しますが、私は一橋大学の楠木先生が結構好きで、その理由は無駄にアナウンサーばりに声がいいという点もあるのですが、一番好きなのは「所詮学者ですから」というある種の諦念みたいなものを話や文章から強く感じる点です。自分のできること・できないことをしっかりと認識していて、その上で「参考になるのであればどうぞ」というスタンスであるように思うので、そのある種謙虚な感じがすごく好感が持てます。学者の先生の中にはあたかも自分が全知全能の神であるかのような振る舞いをする方もいらっしゃるので、そういう方の話はあまり聞きたくないなーと思います(これは会計士などの「先生」と呼ばれる士業にも言えることかもしれませんが…)。

ということでビッグモーター副社長の経歴を見た時、「お父さんは息子に箔を付けてあげたいと思ってMBAを取らせたんだろうな…。親の心子知らずだな…。」と思いました。もちろんMBAには「社外の人脈を作る」「きつい課題や試験を経て修羅場体験を得られる」などのカリキュラム外のメリットも大いにありますので(というかそちらの方が大きいのではないかとも思いますが)、一概に無駄だとは決して思いませんが、カリキュラムで学習する内容とすれば投資対効果があまりよくないのではないかと個人的には思います。ちなみに副社長のパワーワードである「死刑死刑死刑死刑」というのは、ジョジョの奇妙な冒険の「無駄無駄無駄無駄」に影響を受けているのではないかと勝手に推察しているのですが、いつか真相が明らかになることを願っております。