私は学生の時に会計士試験に合格したのではなく、一度社会人になってから会社を辞めて会計士試験を受けて合格しました。個人的には社会人経験を経たことが会計士の受験勉強に奏功したと思うことがいくつかあったので、今日はそのことについて書きたいと思います。
社会人経験を経て会計士試験を受けてよかった点は色々とあり、例えば「学生と比較して切羽詰まっていたので危機感がものすごくあった」などももちろんありますが、特によかった点は下記二点です。
①自分の価値観に合わないものを切り捨てることができた
②常にアウトプットを意識してインプットを重ねることができた
それぞれについてもう少し詳しく説明します。
①自分の価値観に合わないものを切り捨てることができた
私は社会人時代に新規のテレアポの営業をやっていて、最初は色々な先輩の真似をしていましたが結果が出ず、開き直って先輩たちのいいとこ取りをしながら自分のやりたいようにやり出したら結果が出るようになった、という経験をしました。このことから、私は「自分の価値観」というフィルターがよくも悪くも人よりも厚いため、そのフィルターを通すものを取捨選択した方が結果が出るのではないかと思っていました。
会計士試験の予備校では、「まずは財務会計・管理会計の計算科目を完成させましょう」という指導がなされていましたが、過去問を分析すると予備校が求める細かい計算を高い精度で行うことよりも、それぞれの論点を理論的に理解することの方が個人的には重要だと感じたため、予備校の言うことを比較的無視しながら勉強を進めました。
もし学生時代に会計士の勉強をしていたら、自分の思考パターンを理解していなかったため、何となく予備校の言うことを正として勉強を進めていた気がするので、合格していなかったかもしれないと思います。
②常にアウトプットを意識してインプットを重ねることができた
これも社会人時代の新規営業の経験から得たことなのですが、例えば営業のロールプレイングをやる時に、実際の営業の場面を意識しないで何となくやると、いわば「ロープレのためのロープレ」になり、ロープレをやっていることで仕事をした気になって成果が上がらない、ということがありました。このことから、「練習をする時は常に本番を意識してやらなければ意味がない」ということを痛感しました。
会計士試験の勉強をしている時はこのことを常に頭に置いて勉強していたため、テキストを読んでいる時、問題演習をしている時に、常に「この論点が試験に出たらどうするか」ということを意識していました。得意な論点なので満点を狙いに行くのか、部分点を狙ってどの部分まで解いて止めるのか、苦手な論点なので捨てるのか、ということはかなり綿密にシミュレーションしていました。短期間で合格するための戦略として、「知識の量で勝つのではなく知識の質(本番で使える知識を蓄える)で勝つ」「できる問題とできない問題の仕分けを正確かつ迅速にやり、できる問題だけに集中する」ということを決めていたので、本番でのアウトプットを意識してインプットを重ねることができました。
上記のように仕事で培った経験やスキルは、私のような形でなくても受験勉強に生かせることが多々あるように思います。また社会人経験を経てからの学び直しは、目的が明確である分モチベーションも持続させやすいですし、複線的なキャリア形成という観点からも有効であると思いますので、個人的にはかなりオススメです。