ラグビー日本代表のHCにエディー・ジョーンズ氏が選ばれ、2015年W杯以来の復帰となりました。2015年W杯と言えば、何と言っても日本代表が南アフリカ代表を破った「ブライトンの奇跡」ですが、私はラグビーの試合をリアルタイムで見ることはほぼないにも関わらず、この試合はたまたまデューデリのレポートの締め切り期限が近かったため、夜遅くレポートを作りながらリアルタイムで見ていました。最初は「どうせ負けるんだろうなー」という気持ちでぼんやり見ていたのですが、試合終盤になってもなかなか点差が離れないので、どんどんレポートそっちのけで試合の方に夢中になっていき、最後ヘスケス選手がトライを取った時には一人で大興奮してしまい、全く眠くならずにその後レポート作成がめちゃくちゃ捗ったのをよく覚えています。
この2015年W杯でエディーHCが築いた礎が、その後の2019年の母国開催W杯、先日の2023年のW杯に繋がっており、エディーHCが日本をティア1に押し上げるのに多大な貢献をしたということは間違いないところですので、先日のW杯にてオーストラリア代表で失態を演じたところなど、若干気にある点もありますが、ぜひまた日本代表をベスト8、あるいはそれ以上に導いてもらいたいなと思っています。
ただし個人的には非常に気になる点が一点あり、それは世間で話題になっている「選考プロセス」の件です。前任のジェイミー・ジョセフHCの退任が決まり、「公平性」「透明性」を謳って公募で次期HCを決定することになっているはずが、日本ラグビー協会は正式な面接プロセスのはるかに前である今年の夏頃に、オーストラリア代表を率いているはずのエディーHCと接触していた、という情報をオーストラリアの新聞にスクープされた、ということに端を発した次期HC問題は、結局エディーHCの就任という結末を迎えたため、非常に疑惑が残る結果となりました。ジョセフ前HCの退任が決まった段階で、事前にエディーHCに対して次期HC就任を打診することを念頭に置いて接触すること自体は特段問題ないと思うのですが、そういうプロセスを踏むのであれば、「公平性」「透明性」を謳って公募の形式を取ることは逆効果になる可能性があるため、辞めておいた方がよかったのではないかと思います。
日本ラグビー協会は過去にも2015年W杯・2019年W杯後のリーグ戦における空席問題や、アドバイザーの短期での退任問題など、現場にいる選手たちがここ10年で飛躍的に成果を上げているにも関わらず、マネジメント側がそれにブレーキを掛けるかのごとく、度々問題が発生している印象があります。ラグビーに限らず、この手の協会内部でのマネジメント面での問題は、「競技自体の発展<自分の協会内部での地位」という考え方を持った主要メンバーが、自分の権力・地位を維持するために、外部ではなく内部を向いて施策を行った結果、外部から見ると非常に不可解なところに着地する、ということが多いように思います。
このような事態を防ぐためには、「協会内部での地位にしがみつかなくても大丈夫な人」に権力を持たせることが有効で、例えばラグビーであれば廣瀬俊朗さんのような、ラグビーにしがみつかなくても大丈夫な人が権力を持てば、心の底から「ラグビーの発展」という観点で色々な施策を行うような気がするのですが、このような人が権力を持てる立場に選ぶ人の中にまたそういう人がいなければなかなか権力を持つまでには至りませんので、現実問題として、「優秀な現場と、イマイチなマネジメント層」という日本組織が抱える問題点は、スポーツの協会においても根深く残ることは避けられないかな、という気がします。
どちらにしてもエディーHCが就任することはもはや決定事項ですので、こんな一にわかファンの意見など気にせず、エディーHCには2027年W杯のベスト8、願わくば優勝を目指して頑張っていただきたいと思います。2015年以前から長年日本代表を支えてきた堀江選手・稲垣選手・リーチ選手・松島選手などの世代交代が大きなテーマの一つになるかと思いますが、2027年W杯でまた「ブライトンの奇跡」のようなサプライズを起こしてくれることを期待しています。