報道されている通り大谷翔平選手が8/24の試合で緊急降板し、右肘靱帯損傷と診断されました。私も毎朝大谷選手のホームランの速報が届くのを楽しみにしている一人なので、今回の怪我は非常に残念であると思いますが、日本での報道の論調として、「監督は何やってるんだ!」「球団は何やってるんだ!」というようなものがあり、その点については若干違和感を覚えます。監督や球団は、「チームが勝つこと」を目的としているわけであり、「大谷選手の怪我を防ぐこと」を目的としているわけではないため、チームが勝てずプレーオフに進めない可能性が高いことについては責任を問うべきであると思いますが、自分の意志で出場している大谷選手の怪我については責任を問うべきではないと思います。
このような風潮はビジネスシーンでも頻繁に見られるような気がしていまして、日本人の国民性として「いい結果が出た場合情緒的に誰かを褒め称え、悪い結果が出た場合情緒的に誰かを非難する」という傾向にあるような気がします。本来であればいい結果であろうと悪い結果であろうと論理的にその原因を追究し、いい結果であればその結果に責任を負っている人、その結果の主要因となった人に報いる、悪い結果であればその人たちに改善を促し、できないと判断すれば人を代えるなどの方策を取るべきですが、どうもこの「論理的に」という部分がおざなりになることが多く、一時の感情でもって「情緒的に」処理して、後に何も残らないということが多いように思います。
例えばWBCを制した栗山監督は、結果がよかったため今は何を言っても「その通り!」という状態になっていますが、私は個人的には栗山監督は「マネージャー」ではなく「教育者」だと思っていて、「チームの勝利よりも個々の選手の人生を重んじる」方だという印象を受けます。従って、チームの勝利を目的とする監督としては、非情に徹しきれずに選手を信じて自滅する側面もあるため、諸手を挙げて名監督!と言えるかというと疑問に思うところもあります。何より日本ハムが栗山監督時代末期から現在に至るまで低迷が続いているその最大の要因は栗山監督にあると思っているので、その点に目を瞑って盲目的に栗山ノートを買うのはどうなのかなーと思ってしまいます。栗山監督は非常に賢い方なので、その辺りも踏まえた上であえて神輿に乗っているように見えるのですが、それにしても様々なところで「いい点はここ、悪い点はここ、でよりよくするためにどうすればいいか議論しましょう」という流れにならずに、「いい点は褒めまくる、悪い点はけなしまくる、反論したら非国民」のような風潮は何とかならないかなーと常日頃思います。
若干脱線しましたが、何より当事者の大谷選手が、「球団や監督が守ってくれなかったせいで自分が怪我した」とは1mmも思っていないと思います。このレベルのことをやっている選手が、自分の体のことを他責にするわけがないので、そういう意味でも監督や球団を非難する論調には同意しかねるところです。まあ怒りの持っていきどころがなくてそうなっている面があることは理解しますが、悪い結果が出た時に情緒的に何かを非難しても何も生まれないので、大谷選手の本当の状態がどのようなものなのか詳細に報じたり、今後の治療についてどのようなシナリオがありうるのか提案したりなど、論理的に次の一手を示せるメディアが出てくれば面白いのですが、その辺りはもはやYouTubeにお任せ、というところなのかもしれませんね…。どちらにしても大谷選手が二刀流を諦めるということはないように思いますので、今シーズンのホームラン王、そしてできるだけ早いピッチャーとしての復活を一ファンとして楽しみに待ちたいと思います。